筑波大学システム情報系 教授
ISSプログラムリーダー
松島 亘志
このたび、文部科学省2023年度大学の世界展開力強化事業「米国等との大学間交流形成支援」において、筑波大学は「インクルーシブなスマートソサエティーを創成する国際スタートアップ人材の育成」という事業名称でタイプA:交流型に採択されました。 https://www.jsps.go.jp/j-tenkairyoku/sentei_jigyo/index.html
内閣府が提唱するSociety5.0において目標としている「超スマート社会」とは、「インクルーシブ」な社会、すなわち年齢、性別、地域、言語といった様々な属性に捉われることなく、全ての人が平等に、活き活きと快適に暮らすことのできる社会です。この「インクルージョン」の概念は、多人種国家である米国を始めとして、世界各国で重要視されてきています。また米国では、このような社会を実現するために、行政等からのトップダウン的な施策だけでなく、様々な社会問題の解決を目標として、経済的価値と社会的価値を両立することを目指す「ソーシャルスタートアップ」が果たす役割についても注目されています。そこで本プログラムでは、「インクルーシブなスマートソサエティー」をキーワードとして、筑波大学(UT)・オハイオ州立大学(OSU)の学生があらゆる分野から参画し、協業して社会を変える革新アイディアを提案し、つくば市・コロンバス市・民間企業を巻き込んで社会実装するまでをサポートし、ボトムアップによる地球規模課題解決と同時に、多様な人々が共生できる社会の構築のための国際ソーシャルスタートアップ人材を育成することを目的としています。
「インクルーシブなスマートソサエティー」の実現のためには、社会科学・体育・芸術・理工学といった、極めて広範な分野の総合知が必要です。また、国際ソーシャルスタートアップのためには、語学力やリーダーシップ能力、アントレプレナーシップの知識も必要となります。そのような能力や知識を養うため、筑波大学では令和6年度から3つの総合科目(インクルーシブスマートソサエティー概論I, II、インクルーシブスマートソサエティーPBL)を立ち上げます。また、夏休みにはサマーフェスティバルとして、筑波大とOSUの学生のオンラインコミュニケーションの場を提供することなども計画しています。
特に「インクルーシブスマートソサエティーPBL」の授業では、学生が提案したアイディアに対して、自治体・民間企業からのアドバイザーに評価していただき、その実現に向けたブラッシュアップを行うとともに、最終報告会での優秀提案に対しては、OSUでの現地交流や社会実装に向けたサポートも行います。
多人種国家である米国は、この「インクルーシブ社会」の考え方が進んでおり、また、新たな社会的価値を創造するスタートアップの先進地でもあります。そういった米国の中でも最大規模の総合大学であるオハイオ州立大学(OSU)が、本事業のパートナー大学です。OSUはキャンパスのあるコロンバス市とスマートシティープロジェクトの実施実績があり、つくば市とスマートシティー協議会で連携する筑波大学と多くの共通点を持っています。本学とOSUは、既に多くの分野での交流実績がありますが、本事業を通じて、既存のつながりを高度化し、教育・研究の相乗効果を生み出します。
学生の皆さんには、是非、本事業に参加し、新しい未来を自分の手で作り上げていくための知識・能力を身につけていただきたいと思います。
また、本事業に興味のある自治体や企業の皆様には、是非様々な形で本事業にご参画いただきたいと思います。よりよい社会の実現のため、ご協力をお願いいたします。