活動報告

TSUKUBA

システム情報系助教としてISS-PBL向けに講義を行いました

2025年5月9日、私は筑波大学システム情報系の助教として、ISS-PBL向けのオムニバス講義 “The Future of community and mobility” を担当しました。当日はオハイオ州立大学(OSU)から約20名、筑波大学から約5名が参加し、「2050年カーボンニュートラル」を目指すためには何をすべきなのかを、ゲームとグループワークを通じて一緒に学びました。

 

 

講義では、参加者たちには「世界政府(!?)」から地球環境大臣に任命される、という設定を用いました。2050年に世界のカーボンニュートラル(=二酸化炭素の排出量実質ゼロ)を実現するため、世界的な政策を決定してもらうのです。責任重大ですよね。

 

私は参加者を、「電力」「建物」「交通」「産業」の4つのグループに分けました。それぞれの部門で、二酸化炭素排出量を削減するために様々な政策を検討してもらいます。たとえば電力部門では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーをいつ・どの程度の速度で導入するべきか。交通部門では、電気自動車導入の補助制度をどのくらい積極的に行うのか。産業部門の担当グループからは「炭素税が高すぎて産業活動に支障がでる」との声も聞かれました。

 

 

また、イノベーションへの投資も欠かせません。どの技術に、いつ、どのくらい投資すべきか? 私自身は「火星に行くほどの多大な投資をしてはどうか?」と提案したのですが、あまりに予算をつぎ込むと他分野への投資ができなくなるリスクも指摘されました。

 

さすがはOSUの学生たちで、各グループは主体的に自分たちの部門の課題を調べながら議論を進め、次々と重要な政策を決定していきます。しかしゲーム終盤では政策ポイントが不足してしまい、採用できる政策が限られてきました。過去の政策決定を悔やむ声も上がり、果たして地球環境大臣たちは2050年にカーボンニュートラルを実現し、気温上昇を現在から1.6℃以内に抑えることができたのでしょうか……。

 

講義の最後には、私から「Key Takeaways」をお伝えしました。

• Diverse Perspectives
• Long-Term Vision
• International Cooperation

 

これらはカーボンニュートラル実現に必須だと考えています。また、本プログラム(ISS)は “Inclusive Smart Society” を標榜しており、カーボンニュートラルを実現するための「Key Takeaways」とも共通する点が多いと思います。

 

 

1時間の講義でしたが、なかなか盛り上がりを見せ、私としても一安心でした。参加者のみなさん、本当にお疲れさまでした。今後の学びや研究にも、ぜひこの経験を生かしていただければと思います。

 

小平大輔先生 著